恵まれない生い立ちから文字の読み書きができなかった保(笑福亭鶴瓶)が65歳での定年退職を機に、長年、自分を支えてくれた妻・(原田知世)にラブレターを書きたい一心で夜間中学に通う。若かりし頃の保(重岡大毅)と皎子(上白石萌音)の出会いまで遡り、2人の何気ないと同時にかけがえのない日常を描いたのが、実話を元にした映画『35年目のラブレター』。同一人物を演じた2人の織りなす不思議な共鳴と共感を探った。
3月7日公開
——映画を見ると皎子さんの空気感や精神が一本につながって見えたのですが、塚本連平監督から言われたことなどは?
原田 私のほうは監督は特に何も仰らなかったんです。
上白石 私はどれくらい、原田さんを意識するかというお話をちょっとしたんですけど、“あんまり寄せなくていい”というふうに言われて。
原田 家でのシーンは、萌音ちゃんと重岡くんの撮影の後に、私たちも同じセットでやっていて。装飾や美術が時の経過で少し変わるんですけど、私たちが撮影に入った時には、若い時の2人の思い出の写真がいっぱい飾ってあったんです。その2人の佇まいがとても素敵で。その写真のおかげで、鶴瓶さんと自分が今一緒にいる感じとつながるんだなっていうことをイメージできて、すごく自信を持って進めたというか。撮影前にこれまでの2人の様子を見られたのがよかったです。良い写真でね?
上白石 はい、良い写真(笑)。
原田 2人の歴史みたいなものがちゃんと刻まれてました。
上白石 私は完成した映画で、初めて原田さんたちと私たちの写真が並んでいるのを見て、すごく感慨深い気持ちになりました。
原田 素敵だったね。
——皎子さんの人柄が、ただ優しいだけでなく骨太な感じもあり、惹かれたのですが、お2人は皎子さんのどこに魅力を感じましたか?
原田 私は萌音ちゃんが演じていた時代の皎子さんが、最初、保さんと出会った時にすごくおしとやかで真面目なお嬢さんっていう感じで、そういうピュアさも持っている女性だと思うんですけど、2人で暮らし始めて“今日からよろしくお願いします” となった時のあるハプニングでは、断然、皎子さんが強くて、保さんは逃げ回るという(笑)。あのシーンで“あそこからできていたんだ、2人の関係は!”と思いました。
——萌音さんの名シーンでしたね!
原田 そう、すごく良かった。
上白石 ありがとうございます(笑)。
原田 すごくかわいくて好きだった。同時に芯の通ってるところ、真っすぐに物事を見て1つ1つ丁寧に進めていく精神があって、そのギャップも皎子さんの魅力。いろんな魅力がある人ですね。
上白石 旦那さんにかける言葉がすごく的確で、私も大切な人にこういう言葉をかけたいなって思わされる言葉がたくさんありました。例えば、保さんが仕事をやめようと悩んでいる時に“好きにしたらいいんじゃないかな”って仰るじゃないですか。本当にその人を信じて、自分のことも信じて出てくる言葉がとても素敵だなって。
原田 そうだね。
上白石 私もこういう言葉をかけられる人になりたいなと思いました。 賢くて優しくて、でも信頼の上で、ボケるところはボケてみたいな(笑)。
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1967年11月28日生まれ、長崎県出身。近作に映画『星の子』(20年)『あなたの番です 劇場版』(21年)、ドラマ「スナック キズツキ」(21年)、「生きとし生けるもの」(24年)などがある。ミニアルバム『カリン』が発売中。
1998年1月27日生まれ、鹿児島県出身。近作に映画『夜明けのすべて』『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(24年)などがある。ドラマ「法廷のドラゴン」(★番組紹介42ページ)、「世界くらべてみたら」(TBS系)に出演中。
©2025『35年目のラブレター』製作委員会
カメラマン/江藤はんな ( SHERPA+ ) 文/渡辺史 ヘアメイク&スタイリスト/藤川智美(Figue)〔原田〕 ヘアメイク/冨永朋子〔上白石〕 スタイリスト/嶋岡隆、北村梓(Office Shimarl)〔上白石〕 衣装:全てスタイリスト私物〔原田〕、プルオーバーニット42,900円、ワンピース57,200円/Theory(リンク・セオリー・ジャパン 03-6865-0206)、イヤリング17,600円/La Chiave(ドレスアンレーヴ 03-5468-2118)、リング(右手)14,850円/1DK Jewelry works(ドレスアンレーヴ 03-5468-2118)、ブーツ39,600円/銀座かねまつ(銀座かねまつ6丁目本店 03-3573-0077)