2021年に放送され、新しい形の医療ドラマとして多くの人から愛された「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」。スペシャルドラマを経て2023年に公開された劇場版1作目は、興行収入45.3億円の大ヒットを記録した。2作目の映画となる今作で、主人公の喜多見幸太は離島で起こる大規模な自然災害に立ち向かう。喜多見を演じ続けている鈴木亮平に、作品への思いや大切にしていることを聞いた。
8月1日公開
久しぶりの喜多見役だが、鈴木に戸惑いはなかった。
「時間が経ってから演じることを何回かやっているので、体のどこかにいつも喜多見がいるというか、パラレルワールドの世界線に喜多見が生きていていつでも引き寄せられる感じです。付き合いも長くなり、医師としての腕はスーパーですが、人間としては決してスーパーなわけじゃなく、意外とダメなところも見えてきました(笑)。奥さんによく怒られているかわいいところもあって、より愛着が湧いています」
今回、喜多見は看護師の蔵前夏梅(菜々緒)と共に、沖縄・鹿児島の離島地域を巡る試験運用中の南海MERに指導スタッフとして派遣されている。チーフドクター候補の牧志秀実(江口洋介)ら南海MERは実績が作れずに廃止が検討されていたが、突如、鹿児島県・諏訪之瀬島で火山が噴火。噴石や火砕流が迫る中、喜多見らは全ての島民を救うミッションに挑む。
「このシリーズは当初〝医療従事者の方々はヒーローだ〟をテーマに始まりました。コロナ禍での奮闘にエールを送りたかったんです。今回はそこからさらに一歩進んで、人を救いたいという気持ちで行動する人は誰もがヒーローなんだということを描いています。ある意味、MERの新章としても捉えられると思います」
江口演じる牧志をはじめとした南海チームとの関りは新鮮だった。
「牧志は、これまでの江口さんのカッコよさとは違う、枯れたカッコよさがあるんで。僕は以前から音羽(尚/賀来賢人)推しでしたが、同じくらい牧志推しになりましたね(笑)。人としての江口さんは多趣味ですし、いろいろなご経験をされていて、憧れの方です。牧志の人間的な揺れやブレをとても素敵に演じてくださいました。喜多見は当初、このチームをどう成長させるかと考えていたと思うんですが、実は自分が思っていたよりもはるかに強いチームだと気づいていくというのは、演じる際に意識しました」
音羽とのシーンはこだわった。医系技官の彼はドラマ時にドクターも務めたが、今作では厚生労働省医政局MER推進部統括官だ。
「音羽は東京にいるので、撮影のほとんどは別々だったんです。でも喜多見ー音羽ラインの信頼感は大好きな部分なのでこだわりました。台本ではずっと『音羽統括官』と呼んでいるんですが、ある部分では『音羽さん』、大事なところは『音羽先生』って。以前の呼び方で音羽の心をくすぐるわけですよ(笑)。それは僕が提案して変えさせていただきました。松木(彩)監督もお好きなので『お〜ここで!』って感じでしたね(笑)」
しかも「喜多見は気づいてやってるかどうか、わかりません」と鈴木。
「彼は人たらしで天然なので、おそらく自然に変わってしまったんだと思います。ただ、もちろん天然なだけの人ではない。すごく頭はいいですし、どうやったらチームをまとめられるか、権力を持ってる人をうまいこと動かすことは、海外の紛争地で医療に従事していた頃から身についていると思います。今回も、牧志先生を観察している目線に鋭い部分は入れたつもりです。あとは、思い入れの強いTOKYO MERチームと、新たな南海MERチームとの違いを意識しました」
<続きは、おとなのデジタルTVナビ9月号をご覧ください。>
写真/木村直軌 文/早川あゆみ ヘアメイク/Kaco(ADDICT_CASE) スタイリスト/臼井崇(THYMON Inc.) 衣装協力:ジャケット ¥539000、ニットTシャツ ¥396000、パンツ ¥308000、シューズ ¥201300 (ジョルジオ アルマーニ/ジョルジオ アルマー ジャパン株式会社)
1983年3月29日生まれ、兵庫県出身。2006年俳優デビュー。主な作品にNHK連続テレビ小説「花子とアン」(14年)大河ドラマ「西郷どん」(18年)「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」(21年)「エルピス—希望、あるいは災い—」(22年)「下剋上球児」(23年)、映画『HK 変態仮面』(13年)『俺物語!!』(15年)『エゴイスト』劇場版 『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(ともに23年)「シティーハンター」(24年、Netflix)『花まんま』(25年)、舞台『広島ジャンゴ 2022』(22年)などがある。