福田雄一監督の最新〝新解釈シリーズ〟の公開がいよいよ近付いてきた。坂本龍馬にムロツヨシ、西郷隆盛に佐藤二朗という福田監督作品に欠かせない2人をW主演に据え、幕末のヒーローたちを全く新たな視点で描き出す! 圧巻の演技合戦が繰り広げられた撮影現場に密着した第一弾レポート!
12 月19 日(金)公開
さかのぼること2024年盛夏。『新解釈・幕末伝』は、いつも以上の豪華キャスト布陣でクランクインを迎えていた。江戸時代の町を再現したクオリティーの高いセットの中で、ひと際目を引く紫とピンク色のポップな暖簾。そこにでかでかと書かれているのは〝忍茶屋〟という見慣れない文字だった――。
直前まで今にも雨が降り出しそうな曇天からなんとか天気がもち直し、撮影決行となったこの日。茶屋の前で何やらごにょごにょと会話をしている男3人の姿から、撮影はスタートした。男たちの正体は本作の主人公の1人・坂本龍馬(ムロツヨシ)、人斬り以蔵として恐れられたが龍馬とは土佐藩の同志として信頼関係で結ばれていた(?)岡田以蔵(岩田剛典)、龍馬の師匠とも言われる勝海舟(渡部篤郎)だ。開国派として命を狙われることも多かった勝に、ボディガードとして以蔵を〝ノリで〟紹介した龍馬。勝に連れられ以蔵と共に江戸の町を物珍し気に散策しているというシークエンスだが、勝の目的の店が〝忍茶屋〟であると分かってから以蔵の様子に異変が……。最初は普通の茶屋だと思っていた龍馬と以蔵だが、忍茶屋=コンセプト茶屋(*くノ一の格好をした女性店員たちがもてなす現代のメイド喫茶的な店)だと判明してから、「コンセプト茶屋ぁっ!!!!?」「けしからんっ!!!!」とカメラの前に飛び出す勢いで絶叫し始める以蔵。まるでミュージカル俳優のような動きで、毎カット全力で叫ぶ岩田に「ガンちゃんの喉がつぶれちゃう!」とムロも笑いながら心配。クソがつくほど真面目な以蔵に忍茶屋に行く目的を真剣に問われる勝だったが、まっすぐな瞳で「かわいいからだよ。興奮するからだよ」と返答。そのぶれなさに、モニター前で監督も大爆笑していた。渡部は福田監督の映画出演は初となるが、過去に監督演出の舞台には出演しており、独特のグルーヴ感は熟知しているとか。勝が放つ言葉一つ一つに細かくツッコミを入れていく龍馬の軽すぎるノリとは対照的に、どんどんボルテージが上がり続ける以蔵。最終的には「けしからんっ!!!!!」と叫んだ後、長い髪がバサッと乱れるがそれをアドリブでとっさに直してやるムロ=龍馬。一度珍しく渡部がセリフをミスした際、「ごめんごめん」と謝る渡部に、即「全然いいですよ~」と応じるムロはノリで生きている龍馬が憑依しているようだった。
<続きは、日本映画ナビVOL.119をご覧ください。>
文/遠藤薫
©️2025 映画「新解釈・幕末伝」製作委員会
脚本・監督:福田雄一
出演:ムロツヨシ、佐藤二朗、広瀬アリス、岩田剛典、矢本悠馬、松山ケンイチ、染谷将太、勝地涼、倉悠貴、山下美月、賀来賢人、小手伸也 高橋克実、渡部篤郎、山田孝之
12 月19 日公開 東宝配給
