俳句好きの妻が遺した雑記帳をもとに旅を続ける元検視官・道場修作が、旅先でさまざまな事件に遭遇するサスペンスシリーズの新作が3月22日に放送。オリジナルストーリーの王道サスペンスも第4作を数えることに。主演の内藤剛志に作品の面白さを聞いた。
3月22日(土)後7:00~8:55 BS日テレ
道場と一緒に旅をしている気分で、人間模様も楽しんでください
——昭和に多く放送されていた2時間サスペンスが減少傾向にあります。その点についてどうお考えですか?
核家族化が進んで、家族みんなでテレビを囲む時間が少なくなったり、視聴形態が変化したりという時代背景もあると思いますが、作る側の僕たちにも責任があるかなと思っています。僕が言うのもおこがましいですが、視聴率が取れないからと作るのをためらったり、新しいことに挑戦しないで視聴率が取れていた頃の手法をそのまま続けていたり…。でも、過去作を再放送すると話題になることもあるので、古いから悪いと言うことではないとは思いますが、もう少し慎重にやらなきゃいけなかったという気はしています。そこは「僕には関係ない」とは思っていなくて、自分も制作側の一人だと思うし、何かできることはないかとスタッフのみんなと新しいアイデアを出し合うこともあります。それにしても、「あれもこれもなくなるのか…」と思うと、ちょっと寂しいですよね。
——「道場修作」でも舞台となった場所がすでに4箇所あります。2時間ドラマで日本全国いろいろなところに行かれたと思いますが、印象に残っている場所やエピソードがあればお聞かせください。
それぞれの場所が持っている力にいつも助けられているなと感じています。例えば、雪深いスキー場の崖でロケをした際、犯人を追い詰めるシーンでどんどん雪が降り積もっていく様子が面白かったりしてね。マイナス十何度という温泉地でもロケをしましたが、暖かい場所で撮影するのと違って、ひりひり感みたいなものが出る気がしますよね。例えば、東尋坊のロケに関しても、ストーリーも登場人物も作品によって違うから同じ場所なのに違う風景に見える。毎回、スタッフさんが最高の場所を選んでいるので、僕も楽しみですし、見ている方も「また東尋坊か…」と思わずに、楽しんでください。
——元検視官という定年した役柄は初めてということで、役への取り組み方は変わりましたか?
確かに、定年した役というのは、これまでやったことがないですね。定年という言葉は、どこかで終わってしまうんだという寂しさを感じます。でも、年齢とともに仕事がだんだんなくなってくるけど、まだ人生は残っているわけで…。道場の生き方を見て、「定年後も楽しいぜっ!」「年を取るのは楽しいよ」と伝わって、自分も元気に過ごしていこうと思ってもらえたら嬉しいですね。
——今回のみどころについて視聴者の方へメッセージをお願いします。
まず一つ目はサスペンスを楽しんでください。そして、二つ目はいろいろなところでロケをしているので、風景も見ていただいて、道場と一緒に旅をするような気持ちで楽しんでいただきたいですね。最後に、劇中で起きる事件は、人間が起こしたことですから、人間模様をじっくり楽しんでもらいたいと思います。この三つのポイントはいつも言っていることですが、今回も変わらないです。さらに、道場の人生を覗き見してもらった上で、まだまだ人生これからだ、自分も楽しもうとプラス思考になってもらえると嬉しいです。
ないとう・たかし 1955年5月27日生まれ、大阪府出身。
ヘアメイク/長縄希穂(MARVEE)