ハードボイルドでズキズキと胸が痛む序盤から、復讐への執着がいつしか夢の扉を開ける行為にすり替わっていくワクワク感が味わえる連続ドラマ「MISS KING/ミス・キング」。のん演じる貧しく孤独な飛鳥は、共通の敵を持つ元棋士・藤堂(藤木直人)と出会い、自分と母を捨てた天才棋士の父・彰一(中村獅童)への復讐に乗り出す。
9月29日より配信中 毎週月曜日 後8:00 「ABEMA SPECIAL」チャンネル・Netflix ©AbemaTV, Inc.
演技をする上で、Pain=“痛み”は自分にとって欠かせない大事なもの
「物語の最初は“こんな不幸な役はやったことがない”っていうくらい、すごく惨めな思いをし続ける役なんですけど、将棋の世界に飛び込むことで、敵や自分の弱さや悲しみに立ち向かっていく姿が、本当に力強くて。同時に情けなさも前面に出て、どんどん人間味にあふれる主人公になっていくんです。将棋を指す人として“本当”に見えなきゃいけないので、役として相当難しいなというのは分かっていたんですけど、お話も役柄もとってもワクワクする作品で。“やりたい”っていう気持ちになったので、一生懸命練習しようと決めて飛び込みました」
飛鳥を絶望の淵から復讐へと誘う相棒的ヒモ男・藤堂を演じた藤木は「“自分へのご褒美”のような、特別な一本でした。すごく、良い役を演じさせていただきました」と本作への思い入れを語っていたが、のんから見てもハマり役だったよう。
「藤木さんは現場でもずっとすごくかっこよくて、美脚で(笑)。少しアウトロー的な藤木さんの役が新鮮だなぁと思いました。荒っぽさ、男くささみたいなものと、 藤木さんの持つ色気が合わさって、そのかっこよさにシビれました。現場での気遣いもすごく細やかで。夜遅くまで、撮影しなきゃいけない肌寒いロケの日に、アツアツの肉まんの差し入れをしてくださったんですよ。コンビニにあるような肉まんの機械ごと差し入れしてくださって。私はそれでもキャストだから、風がない場所で待機できたりとケアをしてもらっていたのに、思わず肉まん2個食べました(笑)」
朗らかに微笑むが、不安材料だった棋士としての説得力のために地道な努力も。
「将棋を指導してくださった先生から『1日100回、指していれば絶対にうまくなる』と結構、根性論的なお話を聞きまして。それを胸に毎日、朝起きてまだボーッとしている時も、ずっと手を動かして、1人で指してました。最初はスマホでコンピューター相手に将棋を指して、ルールをなんとなく習得していったんですけど、それからスマホ上の駒を将棋盤の上でも再現して、実際に手でも指しつつ勝負するという練習もしました。あと将棋の中継や対局の動画を見たりもしていました。それを見て“あっ、こういう指し方もあるんだなぁ”とか“あぁ、持ち返す時にクルッて手を回したりするんだなぁ”と仕草や考え込む時の動作だったり、ありったけの資料を頭の中にたたき込んで、そこから“飛鳥だったら?”と具体的に考えていきました」
<続きは、TVnavi11月号をご覧ください。>
監督:山岸聖太、椿本慶次郎 共演:藤木直人、倉科カナ、奥貫薫、森愁斗、鳴海唯、西岡德馬、山口紗弥加、中村獅童
写真/西村彩子(SELF:PSY’S) 文/渡辺史
1993年7月13日生まれ、兵庫県出身。近作に映画『さかなのこ』(23年)『新幹線大爆破』「幸せカナコの殺し屋生活」(ともに25年)など。「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。−群れる−」が大阪・国立民族学博物館にて開催中(〜10月13日)。