1月からスタートする新番組「ロビンソン酒場漂流記」に出演するマキタスポーツ。お酒の番組は念願だったという、気になる番組の中身を聞いてみた。
BS日テレ 毎週土 後10:00〜10:30
BS日テレでスタートした「ロビンソン酒場漂流記」は、新潮社ウェブマガジン「考える人」で連載中の加藤ジャンプのコラム「ロビンソン酒場漂流記」を原案に、どの駅から歩いても遠い、どうしてこの場所で? という立地に、と現れる〝ロビンソン酒場〟を求め、マキタスポーツが街をさすらい歩く新番組。実際、ロケをしてみた感触を伺うと、
「街ブラ系の番組は、ジャンプしたら現地に着いたみたいな演出ができるのですが、この番組はそれをさせてくれない(笑)。しかも、ぼんやりとした情報しか与えられないので、繁華街を抜けて、ひたすら歩いていると、本当に店が少なくなってきて、心細くなってくるんです。そこで、店にはためくのぼりを見つけた時の『本当にあったんだ!』という気持ちは忘れられません(笑)」
そして、お店に足を踏み入れると、
「まったくの初対面で入るのですが、そういうお店は大体、地元の方しかいないんです。昔あったでしょ。アマゾンの奥地に探検隊が分け入ったら、槍とか持っている部族の方が突然の訪問者にびっくりして、無表情のままこっちを見てるっていう。毎回、あの気分になります(笑)」
その後の展開が気になるが、
「突然オジャマして、すみませんっていうところから、お酒の力も借りつつ、料理もおいしいものが多いので、『おいしい』とわざと聞こえるように言うと、店主の方がほほ笑んでくれたりして(笑)。交流を始める瞬間がいいですね。僕ね、50歳を超えて改めて思うんですけど、かっこつけているみたいに聞こえるかもしれないですけど、やっぱり人が好きなのかも知れず。その中でも会話が好きということもあり、何とかして会話をしたがるんですね(笑)。酒飲みって酔い方のまちまち感はありますけど、みんな酒飲むことが好き、何より酒の場が好きで、そこに関しては共通していると思うので、いずれわかってもらえるだろうという気持ちで、何かしらキャッチボールのボールは投げてみるというドキドキ感がいいのかもしれません。打ち解けるまでのストロークが。おいしいお酒と料理はもちろんですが、歩いて歩いて店にたどり着いた僕にとってのご褒美は、皆さんと打ち解けて、今日もおいしい雰囲気を味わいましたという。そこまで毎回、何とか力ずくでたどり着こうとするので(笑)。ドキュメンタリーとして感じていただけたら」
そんな自身にとっての、かっこいい飲み方とは?
「志村けんさんのコント番組に出させていただいたことがあって、打ち上げをご一緒したんです。大先輩だから緊張しつつ、志村さんの空いたグラスに、焼酎の水割りだったのですが、焼酎を足して、水を足して、当然、マドラーでかき混ぜて渡そうとしたら、志村さんが『待て』と。『混ぜないで、ゆっくり飲んでいると、氷が溶けて、ゆっくり味が変化して、ひとつのグラスの中でグラデーションができるんだ。それを楽しみたい』と。この人、本当に酒に対してスケベだなと思いました(笑)。たった1杯の焼酎の水割でも、変化を見逃さず、ちゃんと味わい尽くそうという態度。その仕事で、志村さんが僕にダメ出しをしてくださったのですが、現場での振る舞いやアクトのしかたも、混ぜて全部同じにしちゃっていないかというような内容で。お笑いというのはライブなんだから、例えば、カメラさんに合わせて何かをするのではなくて、こっちがドキュメンタリーでやっている雰囲気を向こうにのぞき見させて撮らせるんだよ。そういう現場での変化を、注意を払って感じていなさいよ、ということなんでしょうね。何でも混ぜて全部同じにしちゃダメというのは、均質化していく昨今の傾向への警鐘だと僕は思うんですね。どこかばらつきがあってもいいんじゃないかと」
流行に呑まれたりしないロビンソン酒場も、ばらつきの魅力では?
「そうですね、お店によって様々ですし、番組スタッフもまだ手探りで揚力がついて飛んでいない感じがしますね(笑)。映像を仕上げたディレクターが『すごく面白いですよ。マキタさんが、とにかくおどおどしています』って言うんですけど、おどおどさせているのは、あなたたちですよっていう(笑)。あと、僕的に気をつけているのは、あまり面白くなりすぎないようにしたいなと。我々の世代は地上波のバラエティーの元気なノリに疲れてBSを見る。僕はそう思っています(笑)。ほどよいところをお届けしたいですね」
最後に、これから呼んでみたいゲストを聞いてみると、
「これ、怒られそうですけれど(笑)、飲み番組の方に一人ずつ出ていただきたいですね。まず、玉袋筋太郎さん、NHKから六角精児さんに来ていただいて、本丸は吉田類さん。そんな夢のようなことを想像したりしています。女性なら、YOUさんもお酒がお好きですね。でも、一緒に歩いてくれますかね。スポーツだけで行って〜とか言われそうですね(笑)」
まきたすぽーつ
1970年1月25日生まれ 山梨県出身/芸人・ミュージシャン・俳優・文筆家/“音楽”と“笑い”を融合させた「オトネタ」を提唱し、各地でライブ活動を行なう。俳優としては映画『苦役列車』で第55回ブルーリボン賞新人賞などを受賞。近年では映画『ゴールデンカムイ』、Netflix「地面師たち」などの話題作に出演。また2025年4月4日・5日には単独ライブ「オトネタ8〜グレイテスト・ヒッツ〜」(会)東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASUREが控える。