総合芸術として僕を“カッコよく撮ろう”とチームが頑張ってくれた
毎週火曜日 深1:28~1:58(TBS)深0:59~1:29(MBS) MBS/TBS系
漫画の神様・手塚治虫が『ハレンチ学園』(68〜72年)の性描写や大学紛争、内ゲバなどの世相を意識して描いた、愛を問う意欲作『アポロの歌』(70年)。初の実写作品で佐藤は、幼少時の母親とのトラウマから愛を憎む主人公・近石昭吾を演じている。
「自分が手塚さんの作品をやれるということが幸運すぎるなと思いました。嬉しさの反面、企画書を読んでいくと『なんだ? この役は?』『この物語はどう映像化して、どう演じればいいんだろう?』とか、不安も出てきました(笑)。でも、こんなチャレンジングで不思議な世界に飛び込めて、こんな気概のある企画に参加できるんだというワクワク感が、不安を超えてました。10代の頃に『火の鳥』を読んだ時は難しく感じたんですが、この作品をきっかけにまた手塚さんの作品に少し触れてみて思ったのは、実は人としてシンプルなことを伝えてくれていたのかもと」
デビュー当初から端正という枠を超えた作画感が度々指摘され、萩尾望都やCLAMPのイメージとともに語られることもあった佐藤だが、萩尾氏が敬愛する手塚氏のイメージも本人的にはかなりしっくりきたそう。
「(自分が)手塚さんの作画だなっていうのは思いました(笑)。スタッフチームからも言われましたし、(画を見て)自分でも“昭吾に似てるな”と」
本作は、手塚プロとの共同ストーリー開発で演出&脚本を手掛けた気鋭・二宮健が現代的解釈に挑戦。愛を求めて転生するダイナミックなベースはSF的要素とともに最大限に生かしつつ、昭吾の人物像はより繊細な憂いと詩情のある描写に。さらに「ベイビーわるきゅーれ」シリーズ、25年のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」主演が決まっている演技派・髙石あかりが昭吾の幼なじみ・ひろみ、人気シンガー、合成人間の王などさまざまな役を演じる。
「あかりちゃんはすごく感覚の人。だから僕は芝居と関係ないところで突っ込んだりが多かったかも(笑)。もちろんお芝居的に何か話す、共有することはあったけど、(今回2人が表現するものは)話してもしょうがないレベルではあったりするから(笑)。あかりちゃんが毎回すごくいろんな球、いろんな感情をぶつけてきて、僕はそれを自然と受け止めたり、感じていれば、それが昭吾の深みになるから、すごく助けてもらいながらやりました」
現在28歳の佐藤。CDデビューが15歳とあって、当初は学びながらの芸能活動だったが、24年は蓮見翔(ダウ90000)、演出家でディレクターの橋本和明とコントユニットを組み、初コントライブに挑戦(ユニット名はグラタングミに決定)。さらに自分たちtimeleszの新たな仲間探しとして始動した「timelesz project -AUDITION-」(Netflix)ではオーディション生たちへ伝える力やプロデュース力、行き詰まっていたチームへの「0点出そう」といった名アドバイスが話題になるなど、自身の経験と個性を武器に新たなステージへと進んでいる印象も。
「デビュー当初は自分の年齢が若いから、必然的に上の方、大人の方と仕事することが当たり前でした。でも、この作品では、僕は二宮監督をニノケンさんと呼ばせていただいたんですけど、ニノケンさんが33歳で。年上ではありますけど、スタッフさんも含めて自分と近い世代の方たちが多くて。コミュニケーションも少し遠慮なくできたり、音楽の話などもクロスするところがありました。近い世代の方と作品作りができたことは新鮮で楽しかったです。
役としての昭吾はローな人間で。どこまで笑っていいかみたいなことは、うっすら悩みつつ…。昭吾が場面場面の“愛”をどう受け止めるかはすごく悩みました。だから昭吾が“どんな状態で愛を受け止めるか”みたいな、僕以外が見てもたぶん意味不明で、自分でもうまく説明できないような(笑)、グラフを作ったりしました」
〈続きは、TVnavi4月号をご覧ください。〉
写真/西村彩子(SELF:PSY’S) 文/渡辺史 ヘアメイク/朝岡美姫(Nestation) スタイリスト/壽村太一(COZEN inc)
さとう・しょうり
1996年10月30日生まれ、東京都出身。Blu-ray/DVD『We’re timelesz LIVE TOUR 2024 episode0』が発売中。