BS朝日で「きっちりおじさんのてんやわんやクッキング」が放送中だ。名バイプレーヤー遠藤憲一が、慣れない料理に挑戦する自炊ドキュメンタリーで、レシピ本を読み込み、買い物をし、料理して盛り付けして食べるまでの奮闘ぶりに密着している。
毎週月曜 後10:30〜10:54 BS朝日 BS朝日4K
2024年の3本の特番を経て、この4月からレギュラー放送になった本番組。遠藤、まさかの冠料理番組だ。
「不器用ながら女房に言われるがまま、作った料理やスイーツをTiktokにあげていました。それを見た制作サイドが『できないヤツに料理をやらせたら面白そうだ』と呼んでくださったんでしょうね。もともと手先が不器用なので上手くなるとは思えないけど、目標は1年後にコース料理を作ることです」
レシピ本からメニューを選び、買い物も料理も1人で行なうが、レシピを読むのは不得意だという。
「子供のころ、プラモデルの説明書が苦手で、完成しても絶対部品が余ってたの。文字で説明されるのがとにかく苦手みたいです。台本みたいに感情があれば、まだ大丈夫なんだけどね。番組で使わせていただいてるレシピ本は、その通りに作るとちゃんとしく出来上がるからすごい本なんだと思うけど、『Aのソースを混ぜておいて、1に入れる』とかあると、もう何言ってんだかわからない(笑)。もっと感情を込めて、『ここで卵を入れるけど、ちょっと待って、慌てないで。ちゃんと混ざってるか確認してね』『ここで強火にしよう。煮立ったら3分で弱火ね』って感じで書いてあればわかるんだけど(笑)」
それでも、さすがに回を重ねたのである程度は慣れてきた。
「しょっぱなは、玉ねぎの皮のむき方もわからなかったから(笑)。収録の間があくと忘れちゃうけど、自分で書いたノートを読めば思い出せるので、出汁を取るのと、土鍋でご飯を炊くのはだいぶできるようになりました。ただ、やっぱりまだ揚げ物はちょっと怖いし、火を点けると慌てるんだよね」
俳優という枠を超えた、素の遠藤が垣間見える。
「ドキュメンタリーなので、ありのままの僕を楽しんでいただけたら。時間をかけてたくさん撮っているので、どういう編集になってるかは僕自身も放送まで楽しみです。ただ、うちのスタッフがご家族に『こんなにできない人、ホントにいるの?』って言われたって(笑)。確かに役者だけど、ここまでできないのを芝居でやるのはさすがに難しいよ」
料理初心者にとっては励みにもなる。
「人は苦手なところを自分の負の部分と思ってるけど、それを見て楽しい気分になってもらえるのは嬉しいよね。僕の少しダメなところを笑って見てもらえるかなと思います。それに、おいしく出来上がるとやっぱり嬉しいんですよ。最近はお皿と料理のバランスにも興味を持つようになりました」
1961年6月28日生まれ、東京都出身。
83年に『壬生の恋歌』でテレビデビュー。俳優、ナレーター、脚本家、タレントなど各方面で活躍中。近作にテレビドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」(23年)「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」「ノンレムの窓 2024・春」「ドクターY〜外科医・加地秀樹〜」「君が心をくれたから」(24年)、映画『赤羽骨子のボディガード』『スオミの話をしよう』『劇場版ドクターX FINAL』(24年)『劇映画 孤独のグルメ』『君がトクベツ』(25年)など。