8月にWOWOWで放送される「塀の中の美容室」は、小説「塀の中の美容室」(桜井美奈/双葉文庫)のドラマ化。実在する刑務所の中の美容室をモデルにした本作で、美容師免許を取得し、一般客の髪を切る主人公・葉留を演じた奈緒。演じ終えた今、彼女の心にあるのは、どんな思いなのだろう——。
8月22日(金)スタート 毎週金曜 後11:00~11:30 WOWOWプライム ※第1話無料放送(全7話)
刑務所の中に、一般客も予約して訪れることができる、美容師免許を持った受刑者が施術する美容室があることをご存知だろうか。そんな美容室を舞台にした小説「塀の中の美容室」(桜井美奈/双葉文庫)がWOWOWでドラマ化された。主人公・葉留を演じるのは奈緒。罪の意識を深く背負いながら、美容師として立つ女性を彼女だからこその切実さで演じている。葉留について、どんな思いがあったのだろう。
「小さい時に夢もあって、大切な家族がいて、ひとりの人に普通に恋をして、ささやかな幸せを願っていた女性だと思います。なので何がどうなっていたら、葉留がああいう罪を犯さずにいられたのだろうと考えてしまったのですが、葉留を通して、罪を犯してしまう可能性というのは誰にでもあるんだと改めて思いましたし、罪を犯してしまった未熟な彼女ごと、役として受け容れて演じようと思いました」
その言葉通り、受刑者という設定以上に、ひとりの人間としての葉留を描く姿勢に胸を打たれる本作。大変だったことのひとつが美容師の所作だという。
「皆さんが『できてる!』って最初から最後まですごく褒めてくださって、それでなんとか美容室に立つことができました(笑)。安心して立てたもうひとつの理由は、小説のモデルになった岐阜県の笠松刑務所に取材に伺った時に、実際の美容師さんに『お店に立ち始めた頃、出来なくて叱られることもありましたか?』って聞いたら、『たくさんありました』って。その時にすごく安心したんです。はじめは私にも葉留にも失敗はあるんだと思うことができて、勇気をいただいて撮影に臨めました」
台詞のない印象的なシーンが多いのだが、中でも特筆すべきなのが夏帆演じる姉・奈津との美容室のシーン。小林聡美演じる刑務官の存在も印象的な場面だ。
「あの日の撮影は、すごく難しいシーンだなと思っていました。台本で描かれていない姉妹のそれまでの時間に、言葉にできない思いがあると思うので、そこを想像しながら埋めるのがすごく難しくて。でもその難しさを夏帆さんと聡美さんがとても理解してくださったので、ずっと二人が寄り添っていてくださった感覚があります。本当に心強かったです」
ドラマの中で葉留が特に関わるのがこちらの二人なのだが、共演について伺うと、「正直、お二人を前にすると、私もすごいとしかいいようがなくて」ときれいな声で謙虚に語る。いえ、奈緒さんもすごいです。
「いえいえ(笑)。本当にすごくて。普段のお二人の居方も、すごくかっこいいんです。生活の延長線上にお芝居があるということを、お二人を見ていると、すごく感じます。休憩中の何気ない日常のお話が、私にはすごく心地よくて、私もそうでいたいとご一緒して改めて思いました。お忙しくされている中でも日常を失わずにお芝居していらっしゃる姿が本当にかっこいいなと思います」
<続きは、おとなのデジタルTVナビ9月号をご覧ください。>
写真/中村嘉昭 文/多賀谷浩子 ヘアメイク/竹下あゆみ スタイリスト/岡本純子
1995年2月10日生まれ、福岡県出身。2013年、ドラマ「めんたいぴりり」でデビュー。18年、連続テレビ小説「半分、青い。」で注目される。主な出演作に、映画『ハルカの陶』(19)、『先生の白い嘘』『傲慢と善良』(24)、ドラマ「ファーストペンギン!」(22)、「あなたがしてくれなくても」(23)、「春になったら」「あのクズを殴ってやりたいんだ」(24)、「東京サラダボウル」(25)など。