少女マンガに登場する、生まれながらのキラキラ王子様のようなパブリックイメージも担いながら、実は少年マンガのように真っ直ぐで、時に傷つき、泥をかぶっても諦めない熱血マインドで日々を積み重ねている中島健人。過去の喜びや苦悩、汗と涙の1つ1つを生身の心で自身の糧として取り込み、見つめること。さらに他者や作品との出会いから汲み取ったことを表現に昇華し、完成したという初の自身名義のシングル制作過程を聞いた。
自分らしい生き方を模索している人の背中を押すような作品になっています
——グループを卒業して約1年、猛スピードで活動している印象ですが、意外にも純粋なソロ名義としては今回の「MONTAGE」が初シングルなんですね?
ソロになって、いろんな人たちといろんな場でいろんな経験をこの1年でさせてもらって、自分が進んでいきたい道がより見えてきたし、土台が出来たと思うんですよね。しっかりと“中島健人”として準備ができた状態で、改めてのソロシングルを迎えられたことに感謝してます。
——コンサート含めていろんなリミッターを外して全身全霊でアイドルをやりつつ、アーティストとしても作品作りに向き合い、全部を通して自分1人が核としてやっていく中、レギュラー番組の活動もかなりタイトで。以前は「曜日の感覚がなくなった」とも言っていましたが、やり切ることを続けた今、感じていることはありますか?
やっぱり“自分はアイドルだな”って思います。“アイドル”という捉え方もいろいろとあると思うんですけど、僕はプライドを持って“アイドルやってます”って言えます。ただ、ソロになってからはアーティストとしてのマインドになることも多くあって。今はアイドル界のNo.1アーティスト、アーティスト界のNo.1アイドルを目指すという心持ちになってきています。
——以前の取材では「30歳になったらアイドルとは言えないかも」という想いもお話されていたので、今の中島さんがそう思えているということは、自分や創作と向き合った日々が導いてくれた答えでもありますよね。ソロではいろんなコラボレーションもしてきましたが、どんな吸収がありましたか?
キタニタツヤくんは(キタニとのユニット)GEMNもそうだし、ソロデビュー後初のライブ「KENTO NAKAJIMA 1st Live 2025 N / bias」でも最初の円陣と最後の円陣にいてくれたし、本当に一員として関わってくれているなって思います。彼からは表現者としての中島健人へのリスペクトを感じるんです。僕も音楽家としての彼を尊敬しているので、お互いにしっかりとリスペクトし合えていて、すごくいい関係性でやれているなって。
——敬愛する東方神起とも音楽番組などで共演していましたよね。
東方神起先輩はアーティストとしてはもちろん、人として尊敬してます。2人の人間性はもちろん、アーティストとしての表現力の強さには感服しますね。自分からしてもK‐POP界の神的な存在なので、彼らに自分みたいな人間が近づけたということがラッキーだったし。チャンミン先輩は僕の楽曲を聴いてくれたり、見てくれたりしているし、ユンホ先輩は突然電話をかけてきてくれたりするので(笑)。
——すっかり仲良しですね。
いやいや、本当に嬉しいことですよね。チャンミン先輩は“中島さん、困ったことがあったら、僕たち2人でいつでも駆けつけるんで、言ってください”と真っ直ぐな目で言ってくれたんですよ。ガチで! あの時は本当に泣きそうになりました。本当に尊敬していた先輩だったので。
——そうした出会いやプロジェクト、ソロアルバム『N / bias』を経て、純粋に中島健人として届けるシングルが「MONTAGE」ですが、そことともに本作はアニメ「謎解きはディナーのあとで」のオープニングテーマでもあります。アニメのテーマ曲を作る・歌うという制作過程で感じたことは?
全く制約のない楽曲を作る時との違いは当たり前に感じましたね。やっぱり「ファタール」で学んだことは、すごく大きかったと思います。「【推しの子】」第2期オープニング主題歌だったので、その時、自分なりに“アニメの主題歌を作るとは、テーマソングを作るとはなんぞや”ってことをすごく考えたんですよ。そこで思ったのはアニメの楽曲として成立させながら、自分のことも歌っていかなくてはいけないんだなということ。今回の「MONTAGE」には、言葉が持つ意味そのままの“組み立てる”ということに加えて、“?”(クエスチョン)マークの意味も込めているんですよ。その“?”は、未知や疑問、未来を意味していて。“謎を解く”ことと“未来へ一歩進める”ことをリンクさせてます。それは自分の全国ツアー「KENTO NAKAJIMA 1st Tour 2025 “N / bias” 巡」のテーマにも通ずるところでもあって。アニメに寄り添いつつも、今の自分の胸の内もしっかり込めた作品になりましたね。歌詞はcAnON.さんと一緒に作ったんだけど、cAnON.さんの視点や感じ方が新鮮で、新たな作詞力がついた気がします。ただ、僕がこの曲のタイトルを“MONTAGE”にしたかったのは、アイキャッチならぬ、イヤーキャッチのある言葉を持ってきたかったってところもあって。僕、タイトルに関しては、他の作品を作る時も、そこをすごく大切にしているんです。“MONTAGE”は、日常の中でも聞こえ方が隆起している言葉だなって。フランス語で語感がすごくオシャレなので、アニメのヨーロピアンっぽい感じに相応しいラグジュアリーな単語だし、事件現場に警察や探偵が行った時に、そこで写真を撮って切り取られていく光景も浮かんできたので、歌詞を書く前の段階で、“このタイトルにしたい”と思って、そこから始めたんです。
カップリングの「碧暦」もそう。これはアイキャッチ的にまず、“何て読むの!?”って感じでしょ(笑)。この世には存在しない造語だからね。「碧暦」も響きを大事にしたんだけど、最初は“エンドレスブルー”っていうタイトルにしていたの。
<続きは TVnavi7月号をご覧ください。>
写真/岡本隆史 文/武市尚子 ヘアメイク/石津千恵 スタイリスト/渕上カン 衣装協力:カーディガン¥63,800(amok/問い合わせ:info@amok-inc.com)、その他スタイリスト私物
1994年3月13日生まれ、東京都出身。「日曜日の初耳学」(MBS/TBS系)「中島健人 映画の旅人」(WOWOWプライムほか)にレギュラー出演中。現在、7月17日まで続く「KENTO NAKAJIMA 1st Tour 2025 “N / bias” 巡」全国ツアー中。
■初回限定盤A
SECN-12~13(CD+BD/CD+DVD) 2,420円(税込)
■初回限定盤B
(CD+BD/CD+DVD) 2,420円(税込)
■通常盤(CD)
1,650円(税込)
各種サイトでもデジタル配信中。