渡辺翔太主演×中田秀夫監督×松原タニシ原作の『事故物件ゾク 恐い間取り』がいよいよ公開間近! 前作『事故物件 恐い間取り』より、さらに恐怖にフィーチャーし、監督自ら「原点回帰の1作」と語る本作で、渡辺が新たな主人公・桑田ヤヒロを熱演する。ホラー映画の洗礼をしっかり受けながら、監督の細やかな演出を全力で吸収していった渡辺。インタビュー中は時に軽快なジョークも飛ばしていたが、そこに見え隠れするのは真面目で誠実な人柄。売れるために身を削って事故物件に住み続けるヤヒロと、Snow Manとしてデビューするまでの渡辺の長い下積み時代が奇くしくもリンクする発言にも注目してほしい。
7月25日公開
9人という大所帯グループだが、見事に個性がかぶることなく、それぞれが活躍しているSnow Man。各々のメンバーが俳優業に進出している中、ドラマ出演が続く渡辺翔太が映画単独初主演を果たしたのが、本作『事故物件ゾク 恐い間取り』だ。渡辺にとってはメンバー全員で主演を果たした映画『おそ松さん』(22年)以来の映画出演となるが、前作『事故物件 恐い間取り』(20年)は亀梨和也主演で公開され大ヒットを記録。そんな人気シリーズの続編とあって、撮影前から多大なプレッシャーと緊張感を抱えていたと語るが、ファンの間では渡辺が極度の怖がりという事実は有名。グループの冠バラエティー番組「それSnow Manにやらせて下さい」でも、キレのいいリアクションで番組を大いに盛り上げているが、意外にも「もともとホラー作品は好き」だと言う。その噂を偶然小耳に挟んだ本作のプロデューサーが、渡辺にこれ幸いとオファーをかけ本作への出演が実現した。
「本当にありがたいお話だなと思いました。僕がホラーが好きな理由は、いい意味で頭をあまり使わず感じるままに見られるところなんです。お化けが出てきてドキッとしたり〝こわっ!〞と感じたりするシンプルさが、気持ちいいというか。もちろんそこには人間ドラマや、恋愛も絡んできて1つのストーリーが出来上がっているわけですが、ベースに怖さがあると別軸もそんなにややこしくない。だから見やすい印象があるのかもしれません。ただ……」
と、少し不安そうに言葉を継ぐ。
「映画初主演の怖さというものは、やっぱりすごく感じていました。お化けの怖さよりも、そっちのほうが強かったかもしれません(笑)。前作が亀梨くん主演の大ヒット作だし、(興行の)数字的なことも含めて生々しい怖さが……(苦笑)。常に背筋が伸びる思いでしたし、撮影前はかなり緊張していました」
台本を一読した感想を聞くと、「……怖かった」とポツリ。
「主人公のヤヒロがいくつかの事故物件に住んで、そこでお化けを見ていくという情報自体はとてもシンプル。最近のホラーってお化けよりも人間の中身の方が怖いよねという、心理的な怖さに特化した作品が多い気がするんですが、今回はストレートにお化けの怖さを描いている作品でもあるから、逆に面白がってもらえるのかなとも思いました。もちろんただ怖いだけじゃなくて、淡い恋愛要素もあるし、人間ドラマや感動もあるから、本当に見やすい作品になるんだろうなと。でも……怖かったです」
学びの多かった貴重なリハーサルの時間
監督は前作に続いて、Jホラーの象徴的存在=中田秀夫。中田組では以前から行なわれていることなのだが、撮影前にしっかりとリハーサルの時間がとられる。これは中田監督のこだわりでもあり、キャスト同志のコミュニケーションにもつながる重要な時間だ。多忙を極める渡辺だが、このリハーサルの時間こそが「何より大きかった」としみじみ振り返る。
「ホラーについて何も分からない自分にとっては、すべてが学びの時間でした。すごく難しいなと思ったのが、ホラー映画って効果音や音楽などが乗ってくるから、普通のナチュラルなお芝居だと弱く見えちゃうことがあるということ。監督から『舞台っぽいお芝居の要素が少し必要かも。舞台とドラマのお芝居の中間くらいにしてみて』と言われたんです。難しいなぁと思いながら一旦家にそれを持ち帰って、自分なりに練習して、またリハーサルに臨んだら『ちょっと舞台すぎる』と言われて。これはやりすぎなんだなと思って、また調整するみたいな。そのターンを何度も繰り返しました。監督の求めるその案配を探るのが、すごく難しかった! せっかく作ってもらったリハーサルの時間を無駄だったと思わせたくないから、頂いた宿題をちゃんと合格点にまで持っていかないと!という真面目な取り組みは毎日していましたね。とにかく分からないことだらけだったので、分からないことは分からないとはっきりお伝えして無駄なプライドと自我は全部捨てました」
<続きは、日本映画ナビVOL.118をご覧ください。>
写真/竹中圭樹(アーティストフォトスタジオ) 文/遠藤薫 ヘア&メイク/TAKAI(undercurrent) スタイリスト/渡邊奈央(Creative GUILD)衣装/HARE/ADASTRIA
1992年11月5日生まれ、東京都出身。20年にSnow Man としてCD デビュー。演技面では近作に映画『おそ松さん』(22年)、テレビドラマ「先生さようなら」「青島くんはいじわる」(24 年)「なんで私が神説教」(25 年)など。本作の主題歌「SERIOUS」が7月23日リリース。
原作:松原タニシ 監督:中田秀夫
出演:渡辺翔太(Snow Man)、畑芽育、山田真歩、じろう(シソンヌ)、加藤諒、金田昇、諏訪太朗、佐伯日菜子、正名僕蔵、滝藤賢一、吉田鋼太郎
松竹配給 7月25日公開
©2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会