連続ドラマW 池井戸潤スペシャル「かばん屋の相続」のうちの1篇「十年目のクリスマス」で主人公の永島慎司を演じる町田啓太。「若い頃の自分を思い返しながら演じた」という永島役に、彼はどう向き合ったのか。作品づくりへの思いから、2025年の振り返りまで、さまざまな話を聞いた。
12月27日 土曜、28日 日曜 後10:00~0:00 ※第1話無料放送(全4話)
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本作を通し改めて感じた池井戸作品の魅力とは
本作で演じた銀行員という役柄そのものと言えるスマートさで衣装の細身スーツをピシリと着こなし、まさに〝仕事ができる男〟という印象漂う空気感を纏って取材の場に姿を現した町田啓太。今回彼が主演を務める「かばん屋の相続」第1話「十年目のクリスマス」は、東京第一銀行に勤める永島慎司(町田)が、10年前に会社が倒産し自己破産したはずの神室電機の社長・神室彦一(上川隆也)がなぜか羽振りの良い生活を送っているのを見かけたことから、過去の出来事に思いを馳せつつその真相を探っていくという物語だ。町田自身、実は池井戸作品については以前から「チャレンジしてみたいなと思っていた」と言うが、実際、どういった点に魅力を感じていたのだろう。
「池井戸さんの作品に関しては、僕の中では『医療もの・刑事もの・池井戸作品』とジャンル分けをしていたぐらい、特別なイメージがありました。まず、描かれる人物にも物語にも絶対的な熱量がある。そして、今回もそうでしたが、池井戸作品には銀行ものの作品が多い上に、裏事情を熟知された上でひねり出されたであろうドラマ性みたいなものがあって、ものすごく心をくすぐられるんです。あの本物感あふれる世界に触れて、台詞の応酬や、先を読んで人の心を読み合うIQ合戦みたいなやり取りをお芝居でやったら絶対に面白いだろうなと思っていたので、そういう意味で、いつか出演してみたいと思っていました」
「十年目のクリスマス」では、十分にその体験ができたのだろうか。
「今回は『倍返し』とか、そういうものはなかったんですけど(笑)、人間同士の関係性であったり、人間の見方によって変わるような多面的な部分を描いている点が面白いお話だったので、そこを楽しみながら演じました。勧善懲悪のようなものではなく、法的なところと道徳的なところとの境目を絶妙に描いている作品でもあるので、もしかしたら大変な職場で働いている人なんかは共感できる部分もあるんじゃないかと思います。原作とも変わっている展開もありますので、そこをどう見てもらえるかという点も、個人的には楽しみです」
<続きは、日本映画navi vol 120号をご覧ください。>
写真/福本邦洋 文/深田尚子 ヘア&メイク/Kohey(HAKU) スタイリスト/石川英治
1990年7月4日生まれ、 群馬県出身。10年に俳優 デビュー。近作に映画『ミステリと言う勿れ』(23 年)、大河ドラマ「光る君 へ」(24年)テレビドラマ 「失踪人捜索班 消えた真 実」(25 年)Netflix シリーズ「グラスハート」 (25年)など。Netfli x映画『10DANCE』 (12月18日)Netfli xシリーズ「九条の大罪」 (26年春)に出演する。
