主演ドラマ「相続探偵」が1月25日から始まった赤楚衛二。演じるのは「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」といった個性派のキャラクターを彷彿とさせるような、ちょっと風変わりだが頭のキレる、相続トラブル専門の探偵・灰江。新境地に挑む彼に、ドラマへの思い、そして気になるこれまでの変遷についてうかがった。
日本テレビ系 毎週土 後9:00〜9:54
全体の構成から逆算する役作りに
赤楚衛二の出演作を1作ごとに観ていて気づかされるのは、演技が巧いなぁということ。頭で「こうしよう」と思ってもそうはならない、現場に立った役者の内的なコンピューターが繊細に作動しているお芝居が見てとれて、観る者をワクワクさせる。国内外で高い評価を集めた2020年のドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」以降、朝ドラ「舞いあがれ!」(22年)の感性豊かな短歌編集者役も印象深いし、ラブコメ作「こっち向いてよ向井くん」(23年)の向井くんのモノローグの絶妙にコミカルな間合いで、彼のコメディー・センスに気づいた人も少なくないだろう。

そして、そんなセンスが再び生かされそうなのが、1月から始まるドラマ「相続探偵」。風変わりだが愛すべき探偵・による、独特なひとり語りを赤楚がどう織りなすか気になるところだが、向井くんのモノローグの絶妙な間合いも、意図的に作り上げたというより、本人に備わっているものがおのずと顔を出したような自然さが好ましかった。
「『向井くん』のモノローグは、もちろん役なので素というわけではないですが、かなり素に近いというか。抑揚のつけ方も、どんながいいのかなと迷いつつ、まずは僕自身が面白がってやらせていただいた感じです。あそこまでコミカルな役はそれまでなかったので、楽しませていただきました」
今回の灰江役は、自身にとっても新境地だろう。ちょっと変わり者の愛されるキャラクターは観る側からすると面白いが、やる側からすると?
「共演の矢本(悠馬)さんとは以前にご一緒した時(「SUPER RICH」21年)、自分がちょっと天然だったのか、僕がイジられる側になることで現場が明るくなっていたので、もしかしたら僕自身にも、ちょっと変わったところがあるのかもしれないです。自分では、全くわからないんですけど。それは謙虚に受け止めています(笑)。
ただ、灰江というキャラクターに僕が近いかと言われたら、そうではないので、まずは引き出しを埋めていくことから始めてみようと。灰江は向かってくるものに対して、1人1人を避けながら行くような、つかみどころのないキャラクターなので、撮影前にはかなり悩みました。自分が思う、灰江を演じたら似合いそうな先輩方のお芝居を参考にしたり、全然関係ないアニメや漫画からイメージしてみたり、いろいろなところから引き出しを埋めていった感じです」
共感できるところはあるのだろうか。

「どうでしょう……灰江は結構、頭のいいキャラクターだと思うのですが、僕はどちらかというと、真っ直ぐぶつかって、いろいろ経験して、自分の実感で学んでいきたいタイプなので」
今回、灰江を演じるにあたって、特に大事にしたいことを伺うと、
「基本的に台本で作っていただいた全体の波を大事にしたいなと思っています。灰江の探偵事務所にいる令子(桜田ひより)と朝永(矢本)、この3人の個性と関係性の面白さがドラマの中ですごく大事な要素だと思うので、その緩急の面白さをみんなで出していけたら。その上で、自分のいい意味での〝遊び〟やオリジナリティーをどう追加したら、ドラマ全体が面白くなるのかを今は考えています」
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あかそ・えいじ
1994年3月1日生まれ、愛知県出身。映画『六人の嘘つきな大学生』、『366日』が公開中。