確かな存在感を見せる俳優・竹財輝之助。近年でこそDV男や不倫夫などいわゆる“ クズ男” 役でよく登場しているが、映画『ロマンティック・キラー』の執事役を筆頭に、切ないクール系や退廃的な艶男、甘渋イケオジなど、どんな色味の役でも変幻自在に演じ分ける稀有な役者だ。そんな彼が、インディーズゲーム制作チームChilla’s Art (チラズアート)の人気ゲームを原作としたホラー映画『夜勤事件』に出演している。ほぼ初めてとなるホラー作品への出演や現場の様子、さらに自身の役者としての在り方など、たっぷりと聞いた。
2月20日(金)公開
「実はホラーは苦手なんです」
竹財はちょっと申し訳なさそうに笑う。
「でも、以前ご一緒した永江二朗監督からのお話だったので、ホラーとか関係なくお受けしました。それに、撮影現場では怖いことは起きないと思ったので(笑)」
監督やスタッフへの信頼が、その仕事の根底にある。
「僕は〝人〟と仕事をしていきたい。以前仕事をした方からお声がけいただけるのが一番嬉しいです。助監督時代から知ってる方が監督になって『ぜひ』と言ってくださったりすると格別ですね。基本、体が空いていればどんなお仕事でもお引き受けします」
今作で演じたのは、事件現場に臨場する刑事・猿渡真司。ゲームには登場しないオリジナルキャラクターだ。永江監督からのリクエストは、「映画『セブン』( 95年)のブラッド・ピットみたいに」だったという。
「『僕には無理じゃないですか?』と言いましたけど、監督のおっしゃる通り、最大限カッコつけました(笑)。情熱を持っていて無鉄砲で口が悪いちょっと前時代的な刑事さんで、そこに無いものは無い、事実しか信じないという人です。ただ、どういう役回りとか詳しいことは言えないんです。一応、ゲームを実写化してストーリー性を持たせるために必要なストーリーテラー的な役割だとだけお伝えしておきます。ぜひ劇場でお確かめください」
監督は、「現場に子どもがいるのかと思うくらい」ハイテンションだったとか。
「本当にホラーや映画がお好きなんだなと思いました。見ててかわいいんです(笑)。猿渡が現場のコンビニに登場するシーンは、車を降りたところからカメラがグーンと引いていくんですけど、すごく大きなクレーンを使ったんですね。『ここを一連で撮りたくて! 初めて使うんです、巨大クレーン!』って、ものすごく気合い入ってましたし、それが一番楽しそうでした(笑)」
演出で独特だったのは「ホラーの間」。
「監督がよくおっしゃってたのは、『目が合って、3間あけてから驚いてください』という類いのこと。『ホラーの間なんですよ、竹財さん』『編集したら意味がわかるから』
っておっしゃるので、それに関して僕はもう、信頼してお芝居してました(笑)。ホラーに限らず映像では、『ここに回想入ります』みたいな技術的なお芝居は必要ですからね。実際、完成品を見て『なるほど』と思いました。画面の空白の使い方もさすがですし、とにかく怖い。心臓に悪い映画だと思います。1本まるまるホラー映画を見たのはたぶん初めてだったんですが、ホラーってこんなに疲れるんですね(笑)」
さらに、随所に原作ゲームへのリスペクトを感じたという。
「ゲームを自分でやるのは怖かったので僕は実況動画などを見せていただきました。映画の冒頭が、(ゲームのように)主人公目線のカメラワークでコンビニに入っていくシーンなのもあって、この映画は没入感がすごい。映画を見てるんだけどゲームを体感してるように感じられるのは今作のキーポイントだと思います」
また、主な舞台となるコンビニは、スタッフが探し回って見つけたというほぼゲームと同じ構造の店舗。実際に営業してるところをお借りしたという。
「作り物じゃない生々しさが出てて、余計に怖かったと思います。ちょっとした汚れや歩いた跡、実際に人が動かないとこうはズレないよねという棚の感じとか、生きて動いてるロケ地だったんです。そういう場所だと、僕ら役者の感じ方も変わるんですよ。細かいことですけど、とてもありがたかったです」
主人公の田鶴結貴乃を演じた南琴奈については「目が印象的でした」と語る。
「自然体でカメラの前で演じてらっしゃいましたのですごいと思いました。私もいろいろ武装してから臨むのですが、なかなか自然体を表現する事が難しいと感じてます」
武装とは?
「台詞を全部入れて、ある程度動きも決めて、相手がこう来たらこう返すというのを何パターンも用意して『よしっ!』と思わないと怖かったんです。(デビュー作の)『仮面ライダー剣』の頃はホントにそうでしたね」
転機は昼ドラ「緋の十字架」で共演した西村和彦の言葉だった。
「『役者のキャリアはどれだけ人を知っているかだよ』と伺ったのがすごく印象的で。今、どの現場に行っても1人や2人は知ってるスタッフさんがいて、何となくですけどホーム感がある。『それがキャリアだよ』というお言葉を実感してるところです。『怨み屋本舗』の時に、寺島進さんから周囲に合わせるテンポの大切さを教えていただいたのも忘れられません」
<続きは、日本映画ナビVOL.121をご覧ください。>
写真/木村直軌 文/早川あゆみ ヘア&メイク/岩田恵美 スタイリスト/大石祐介 衣装協力/コート¥129,800(MANAVE/HEMT/03-6721-0882)、ニット¥29,000(KUME/HEMT/03-6721-0882)、パンツ ¥29700(KHONOROGICA/HEMT/03-6721-0882)シューズ¥96800(Paraboot/03-5766-6688)
『夜勤事件(The Convenience Store)』
監督/永江二朗 脚本/赤松義正 出演/南琴奈、関哲汰、田中俊介、五頭岳夫、坂本真、手塚真生、吉岡優希、櫻井淳子、加藤夏希、竹財輝之助 配給・制作プロダクション/キャンター製作/「夜勤事件」製作委員会(NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン/キャンター)
2月20日公開 ©︎2025「夜勤事件」製作委員会
1980年4月7日生まれ、熊本県出身。04年『仮面ライダー剣』で俳優デビューを果たす。近作に映画『劇場版 トリリオンゲーム』『セフレの品格 終恋』『ロマンティック・キラー』(25年)、テレビドラマ「娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?」(25年)など。現在「連続ドラマW シャドウワーク」(WOWOW)「パンチドランク・ウーマン – 脱獄まであと××日- 」(日本テレビ)「東京P. D. 警視庁広報2 係」(フジテレビ)に出演中。
