6月6日公開
吉沢亮×横浜流星が芸を極める良きライバルに
吉田修一×李相日の強力タッグ再び。任侠の家に生まれ鮮やかな入れ墨を背負った喜久雄と、生まれながらにして歌舞伎界を背負って立つ運命にある御曹司・俊介。交わるはずのない2人の人生が交錯し、良きライバルとして芸を極めるべく切磋琢磨する日々が続くが……。
吉沢亮と横浜流星という人気俳優2人が、共に1年以上の月日をかけて歌舞伎の稽古を積んだという本作。後に孤高の人間国宝となる主人公・喜久雄を吉沢が、名門に生まれたが故の葛藤と苦悩を抱える俊介を横浜がそれぞれ対照的に演じ、俳優としてのキャリアに大きな1ページを加えた。猛特訓のたまものともいえる2人の艶やかな女形の舞いは、息をのむ美しさ。歌舞伎の知識が全くない筆者でも、“何かすごいものを見せられている”という感覚は常にあった。加えて歌舞伎界の裏表まで余すことなく描き切る人間ドラマパートが、とにかく面白い。芸のために文字通り命を懸けた男たちの生きざまは、理屈を超えて胸に突き刺さるのだ。
ここに注目! 圧倒的説得力に満ちた吉田修一の長編原作
吉田修一による原作は、上下巻にわたる長い小説だが、自身が3年間黒子として歌舞伎界に関わりながら執筆しただけあって、圧倒的な説得力に満ちており一気に読破してしまう。個人的には映画を見終わった後に、キャストを思い浮かべて原作を読むのがオススメだ。
原作/吉田修一 監督/李相日 脚本/奥寺佐渡子 出演/吉沢亮、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、森七菜、三浦貴大、見上愛、黒川想矢、越山敬達、永瀬正敏、嶋田久作、宮澤エマ、中村鴈治郎、田中泯、渡辺謙
25年/174分/日本配給/東宝
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会